私はこのグループのインタビューというものをそれほど数多く読んだことがあるわけではないのだけれど、リップ・スライムの音楽的中心ってフミヤとぺスだと思うんだよね。わりとクラブ指向なフミヤに対して歌モノ指向のペス、この二人の間でバランス良いアルバム作りが今まではされていたと思うんだけど、フミヤが生音に目覚めたため今作では一気にレイドバックした印象ですね。で、これが最初の方は気に入らなかったんだけど、これはこれでいいかもと最近思い始めてます。
私が彼らを好きな理由は一言「心地良さ」なんですね。軸足をポップに置きながら、大股開きで変な所に平気で足を踏み入れるフミヤのトラック、そしてフロウ、デリバリー共にその滑らかさにおいてはシーン随一ではないかと思える4人のラップ。この二つが合わさったときの心地良さは他にはないものだったのだけれど、今作も種類は違っても「心地良さ]という点では変わらないんですね。でも今までの他には変えがたい心地良さに比べると、今作の「それ」はわりとありきたり。だから私は今作を楽しむ代わりにリップ・スライムに対する期待ってほとんどなくなっちゃったなぁ。前作にはわずかにあったエッジも、今作には当然のようにないし。う~ん、音楽って難しいねぇ・・・。