最近CDVADERさんでトゥールのアルバムを紹介しているので、私も久しぶりに聴き返してみました。
デビュー当初からトゥールの評価が高かったアメリカと違って、日本で彼らの名前が騒がれ始めたのってパーフェクト・サークルがヒットしたあたりだったと思うんですよね。だから当初日本ではパーフェクト・サークルのヴォーカルがやっているもう一つのバンド、みたいな捉えられ方だったような記憶があります。そしてレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、マリリン・マンソン、コーンが日本でも商業的成功を収め、ヘヴィ・ロック最後の大物的な感じでトゥールの待望論が盛り上がり始めた頃にリリースされたのが本作。
本作はライブCDとクリップ等を収録したDVD(VHSのもある)、そしてブックレットをセットにしたもの。個人的にはやはりライブCDが目玉になるんだけど、久しぶりに聴き返してみて発売当初に聴いた「混沌」という印象から随分変わりましたね。
上に書いたようにトゥールって前述の3バンドよりも遅れて日本で評価されたわけだけど、四天王的な感じで括られていたバンドの中でトゥールだけ他のバンドと違いますよね。他の3バンドが「表現」として音楽に向かっているのに比べて、トゥールは「芸術」として音楽に向かっている感じがします。というのも今改めて聴きなおして印象的なのは徹底された構築美なんですね。聴いた感じ混沌としているのは変わらないものの、その混沌さえも彼らの演奏力によって作り出されていて、枠からはみ出すようなところが殆どないんですよね。そしてメイナードのシアトリカルなパフォーマンスも含めて非常に演劇的に思えます。そしてヘヴィ・ロック系の人たちにしては珍しく、黒人音楽からの影響が殆どみられないのも独特というか。プログレッシブ・ロックを指して、「ジミヘンを代表とするブルース・ロックが台頭してくる中で、ヨーロッパ的な白人のアイデンティティを注ぎ込んだもの」と言ったのはEL&Pのグレッグ・レイクだったと思うんだけど、そういった意味では意味では正にプログレッシブ・ロック、というかロバート・フィリップと馬が合うのも分かる気がします。
で、今まで書いた感じだと私がこのバンドをあまり好きじゃなさそうな印象を受けそうですが、私は今でもこのバンド結構好きです。っていうか最近「表現」としての音楽ってあんまり興味ないのよね。それに演劇的とは書いたけど、その音楽から発せられるエネルギーの放出量はやはり凄いものがあるし。あと個人的に演奏が上手いというのもポイント高いです。
まぁ今ではどうだか知んないけど『ロッキン・オン』てきな価値観が蔓延っていた当時、このバンドの評価が遅れたのもわかる気はします。私はパーフェクト・サークルよりもトゥールのほうがずっと好きですけど。
なんか今回文章ヘンだね、すいません。
Tool: Salival (Box) (CD & DVD) Tool Volcano 2000-12-12 |