http://www.sonarkollektiv.com/
Soulphiction こと Michel Baumann が主催するレーベル、 Philpot のアーティスト・ページを見ると、「Jackmate はシカゴに影響されていて、Soulphiction の背景はヒップ・ホップ」みたいな事が書いてあります(超適当)。実際彼の Jackmate 名義でのアルバム『Prodigal Son』は、クリック・ハウスとシカゴ・ハウスの橋渡しをするかのような内容だったのだけれど、そこから3年、この名義では初となるアルバムです。
最初リリース元が Sonar Kollektiv というのは意外に思えたんだけど、元々この名義にはジャズ的な感覚がうかがえるのと、このレーベルが Ame の『Rej』の大ヒットにより、最近のミニマルともリンクし始めてる事を思えば納得という感じでしょうか。
で、以前この名義での『soulphiction EP』(過去記事)を紹介したときは、そのデトロイト・ハウスとの類似性にばかり気がいってしまったのだけれど、今作では前述の通りヒップ・ホップ、そしてさらにブラック・ミュージック全般からの影響を全面に出していて、これがもうとんでもなくカッコいい。
基本はこの名義らしいダウン・ビート・ハウスなんだけど、全編昔のレコードを思わせるチリチリとした質感で統一されているのがまず素晴らしい。そして先にシングルで出ていた “used” を筆頭にソウル色が強めなんだけど、他にもヒップ・ホップやジャズ、ファンクなどの影響も滲み出ていて、安易な借り物じみた感じがないんですよね。
そして、このアルバムを決して回顧主義的なものにしていないのがビートで、上モノは声ネタとかを使ったファンキーなものなんだけど、その上モノを跳ねさせないかのように重くくぐもったビートが鳴っていて、そこで生まれる独特な倦怠感がものすごく今っぽい、っていうかブルースにも近いものを感じます。
さらに、敢えて Moodymann や Theo Parrish なんかと比べるのならば、この2人のような、ある種のゲットー・ミュージックの持つ魂の根源的な美しさみたいなものはないんだけど、様々な音楽からの影響が融合した芳醇さみたいなものはこちらの方が上ではないでしょうか。
このアルバム以降発表された2曲を聴く限り、また違った方向性を探っているようだけど、今後がますます楽しみな人ではないでしょうか。
視聴→
購入→amazon
『state of euphoria』(SK080LP)
A1.intro
A2.state of euphoria
A3.used
B1.make it slow
B2.deranged
B3.intermission
B4.no jealousy
C1.midnight funk infimity
C2.transistor slugs
D1.what was coming
D2.days of feeling sad
D3.love thang
D4.angela