ドラマーの David Silveria の一時的な離脱により、私の大好きな Terry Bozzio をサポートに加えての8枚目。
なので私としては当然ドラムに耳がいってしまうんだけど、今回ドラマーが変わったせいなのか、それとも単純にサウンド・プロダクションの問題なのか分からないけど、今までに比べドラムの音がタイトで抜けのいいものになった。それによって前作などに色濃かったどこか靄がかったような空気が一掃され、そこから浮かび上がってきたのは、やはり彼らの楽曲志向になった現在の姿ではないかと思います。
それは彼らが Jonathan Davis の感情的爆発力にたよったヘヴィ・ロックではなく、バンドとしての音楽的な進化を選んだ『Untouchables』以降、様々な試行錯誤を重ねた一つの結実が見事にこのアルバムには刻み込まれているからで、路線こそ今までの総決算的な色合いの強いモノながら、楽曲のドラマ性は一層増し、かといって Korn らしいヘヴィーなグルーヴも失われていない。さらにメロディのキャッチーさもさることながら、それを歌う Jonathan Davis の幅広いスタイルを生かしたヴォーカルが素晴らしく、以前は感情に隠れがちだった彼の歌い手としての高い潜在能力がいよいよ開花した感じ。
ちょっとメロディの幅が狭いのが多少気にならなくもないけど、それでも総体でみれば Korn のキャリアの中でも屈指の傑作。この調子で行けば次作はさらに期待できそうだ。
これ、意外と(っていったらバンドに失礼かもしれないけれど、でも意外と)よかったねえ。あと、90年代半ば以降のメジャー級バンドで、これだけコンスタンスにアルバムを発表してるのって、ぱっと思いつくかぎり、このバンドぐらいなのに、つねに一定のクオリティを保ち続けてるのも、えらいと思う。
このバンドって何度も「もう次はいいかな」って思ったことがあるんだけど、節目節目でちゃんといいアルバム作るんだよね。
だから当分離れられそうにありません。