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順番が前後しちゃうんだけど、アルバムに先んじて発売された KAT-TUN 7枚目のシングル(アルバムには未収録)。
最近の KAT-TUN のシングルは初回盤2種類と通常盤の合計3種類出るパターンが続いてたんだけど、今回はそれを上回る4種類。表題曲のみの通常盤と、各メンバーのソロを2曲ずつ収録した初回盤が3種類で、これはさすがにやり過ぎじゃなかろうかと思いつつも、全部買っちゃうんだからどうしようもない。
ということで、アルバムの続き。
『KAT-TUN III -QUEEN OF PIRATES-』に足りない部分はメンバーの音楽性、と書いたんですが、それ以外にあのアルバムに足りないものを挙げるとすれば、ダンス・ナンバーではないかと思います。私個人、デビュー作や『SIGNAL』のせいか、 KAT-TUN はヒップ・ホップや R&B を基盤としたグループという印象が強い。
しかしここ何作かのシングルがロック色の濃いものであったり、アルバムの方でも R&B っぽいのって “AFFECTION ~もう戻れない~” くらいしかなく、若干の寂しさを覚えていました。そこへきての今作は、サイトのキャプションを引用するならば「全てのオーディエンスを揺らす究極のフィジカルチューン
」。が、その言葉から連想されるような、軽快なダンス・ナンバーというわけではなく、前3作のシングル同様、ヘヴィなギターが導入されているのは変わらない。しかしそのヘヴィさを保持したまま、曲中にはしっかりとグルーヴが息づいており、ロック路線を経てのダンス・ナンバー、という着地点としては、非常に完成度の高いものになっていて、ある種 KAT-TUN のスタイルの一つの完成形をみた思いがする。
さらにこのシングルの初回盤の収録された、各自のソロ・ナンバーが、メンバーの音楽性を探る上でも興味深いわけですが、結果からいえば、6人中3人がポップ・ナンバーで、それほどの面白味は得られない。とはいっても、それは曲そのものを否定するというわけではなく、中でも元 Def Tech の Micro 作曲による、田口君の “夏の場所” はかなりの良曲。
そして一番面白かったのは、 KAT-TUN の悪ガキ担当(と勝手に思ってる)の赤西君と田中君の盤で、赤西君の “LOVEJUICE” は変則的なビートと、トランシーなシンセが気持ちいい R&B ナンバー。本人作詞による歌詞が英語なので、まんま洋楽ポップスという赴きなのだが、なんてことはない、 Jade MacRae っていう人の “Low” という曲のカヴァーなんだそうで。しかし赤西君の声の高いところから低いところまでフルに使ったこの曲は、赤西仁というヴォーカリストの魅力を余すところなく伝えていて、その艶やかさに惚れ惚れしてしまう。
田中君の “PARASITE” は、イントロのギターが鳴った瞬間からまんま HIDE にしか思えないデジタルなヘヴィ・ロックで、思わず内田有紀の “ハートブレイク・スナイパー” を思い出しそうになってしまう曲。しかしこれが案外田中君にはまっていて、彼のバッド・ボーイ的なイメージにも合ってるし、田中君のラッパーとしての側面とシンガーとしての側面を過不足なく伝える曲になっている。
最後に上田君の “愛の華” は、自身で作詞作曲を手がけるという気合の入りようなんだけど、上田君の歌唱力でピアノ・バラードは正直ちょっとキツイかな。
何度か書いている通り、私はメンバーの音楽の趣味とかほとんど知らないので、ソロ・ナンバーにおいてもメンバーの音楽性が反映されているのかどうかは分からないのだけれど、しかしこのグループらしい雑食性が感じられるのは確かで、だからこそアルバムの方には、 “DON’T U EVER STOP” の PV じゃなく、このソロ・ナンバーを収録した方が良かったのではないかと思うんだけど、まぁそれはしょうがないか。しかし、アルバムとあわせて、彼らの今後に期待するには十分たる出来ではないかと。