おそらく DFRNT が運営しているのではないかと思われるイギリスのネットレーベル ECHODUB のコンピレーション。どうやらレーベルに送られてきたデモから選んだ、いわば青田買い的なもののようで、そのせいかフリー・ダウンロード。
DFRNT というアーティストは最近増えてきたテクノ的な音作りのダブステップの中でも、かなりテクノの要素が強いトラックを作る人なのだが、今作もそういった彼の趣味が反映されたのか、非常にエレクトリックな音で軽快に組み上げられたようなトラックばかりで、リズムこそダブステップながら、質感としてはむしろテックハウスに近い。
なのでダブステップにストリート・ミュージックとしての荒さを求める向きには全く合わないのだが、完成度自体はどのトラックも高く、また音響構築として聴いた場合もなかなか興味深いものが多い。
中でも白眉なのがトップを飾る Skyence の “Precious Time” で、鋭角的なシンセとリズムが同時に切り込んでくるさまは非常に刺激的だ。
またダブステップは暗いとか重いというのはよく聞く意見だが、今作は前述したように総じて軽めの、2ステップ以上ダブステップ未満、みたいなものが多いので、普段この手の音を聴かない人にも聴きやすいのではなかろうか。