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さてさて、今年に入ってからの KAT-TUN に関しては、あまりにも状況の変化が激しくて、またその都度書きたいことが上手くまとまらなかったので記事書くの後回しにしていたのですが、そうこうしているうちに、赤西くんの脱退は決定的なようですね。
最初ジャニー社長の談話として発表されたときは、少々唐突なタイミングに、所詮ワンマン社長の気まぐれだろう、くらいにしか思わなかったのだが(同時にワンマン社長だからこそ、気まぐれでも通ってしまうのだろうとも思ったけど)、赤西くんが会員向けの日記で、これからソロ活動をしていく旨を書いたようで、もうこの流れは変わりようがなさそうだし、私としては最悪に近い結果に落ち着いたとの思いが強い。
それは私の中での赤西くんの評価の高さに起因するのはもちろんなのだが、それと共に今年の頭に出たシングル『Love yourself ~君が嫌いな君が好き~』の素晴らしさによる部分も大きい。
私が『Love yourself ~君が嫌いな君が好き~』の発売を知ったのは HMV のサイトだったと思うのだが、それを伝えるニュース・ページ(探したけどもう削除されちゃったみたい)にあったある言葉が非常に印象に残っていて、それは記憶によれば「破壊の次は再生」、というようなものだったと思う。はたしてこの言葉が事務所の資料から持ってきたオフィシャルなものなのか、それとも HMV の担当者が考えて書いたものなのかは分からないが、確かに『Love yourself ~君が嫌いな君が好き~』は「再生」という言葉がしっくりとくる作品だったからだ。
ではそもそもその「再生」という言葉は何を指しているのだろうか。それは思うにアイドルとしての再生だろう(ちなみに「破壊」の方は昨年の東京ドーム連続公演記録を破った事)。
今までの KAT-TUN といえばクールな印象であったり、またどこか陰のあるものであったりと、アイドルらしさとそれ以外の要素がせめぎあっているような曲が多かったが、それに比べ、”Love yourself ~君が嫌いな君が好き~” と “THE D-MOTION” は今までにないほどの華やかさをもった、素直にアイドルらしいといえる曲で、また6人中最も端正な歌声を聴かせる亀梨くんが基本的なメインパートを担当している事もその印象を強くする。
しかし今作はアイドルらしからぬアイドルである KAT-TUN が単なるアイドルになった曲、とはならずに、きちんと KAT-TUN としての個性を感じさせるものになっていて、要は KAT-TUN は6人全員が口を揃えるほど各人指向性がバラバラなグループなわけだが、そこを無理にまとめようとせず、曲のケツもちは亀梨くんにやらせるから、あとはみんな好きにしていいよ、ってな感じの良い意味でのいい加減さがあるからで、赤西くんにいたっては、極端に書けば終始オートチューン使って遊んでいるだけである。
それでも結果、両曲とも赤西くんの歌った部分は強烈なフックとして機能していて、本作のサウンド・プロデューサーが誰なのか知らないが、これぞプロデュースの妙、といったものを感じる。
それに “THE D-MOTION” の最初、中丸くん、上田くんに続いて赤西くんのパートに入ったときにハッとするのだが、ほぼ感情過多と同義になっていた彼のヴォーカルが今までにない軽やかさを持って鳴っていて、この時のグループの風通しのよさを表しているようで、このままいけば KAT-TUN は、とんでもない傑作をものにするのではないか、そんな予感さえ抱かせてくれた。
しかし結局私の期待は赤西くんの海外ツアーによって叶わぬものになった。
この辺りについても色々と思う事はあるのだが、今書いても恨み節にしかならなそうなので省く。
そして5人体制で発表されたシングル『Going!』は爽やかさが前面に出た、さらにアイドルらしいものになっていたが、普通の J-POP ではなかなか聴けないような変則的なキックを鳴らすアレンジと、躍動感溢れる田中くんのラップによって、ギリギリのところで「せめぎあい」を演出していた。
さらに6月に発表されたアルバム『NO MORE PAIИ』も同様に爽やかさが前面に出た作品ながら、随所に KAT-TUN らしい適度な異物感を感じさせることで作品が引き締まったものになっているし、また以前赤西くん抜きで作られた『catoon KAT-TUN Ⅱ You』のように変に幅を出すのではなく、方向性を絞ったのも功を奏して、作品としては非常に充実したものになっていて、おかげで赤西くんの不在をそれほど意識することなく、7月16日のコンサートに臨むことが出来た。
しかしコンサートともなると話は別で、やはり赤西くんの不在を強烈に感じざるを得なかった。
まぁコンサートに関しては24日にもう一度行ける事になっているので、細かい部分について書くのは控えるが、大雑把に見たとしても、正直よく分からない部分の多いコンサートだった。
演出面で無駄や意味の分からないものが多いのはいつもの事なのだが、一番意図が分からなかったのが選曲で、前半シングルや代表曲を中心にやっていたのは、5人でも KAT-TUN らしさを出せるとアピールしたかったのか、それとも代表曲を並べる事でファンを安心させたかったのか分からないが、 “僕らの街で” が終わって後半、 “FARAWAY” と “RIGHT NOW” という新作からの曲が並んだ事で、 KAT-TUN の新機軸を鮮烈に打ち出すのかと思いきや、ここでもよく分からない演出をはさむ事で流れがブツ切れになっていたし、全体でみれば尻すぼみな印象さえ与えていたのは非常に勿体無いと感じた。
あと面白いと思ったのはメンバーの個性の部分で、性格的な面では赤西くんの我が儘な部分ばかりが注目されるが、音楽的な面を見れば、本物志向の赤西くんよりも、自己陶酔型の亀梨くんの方が、 KAT-TUN の音楽性からすれば異質なんだよね。
それでも赤西くんがグループを離れ亀梨くんが残ったというのは、やはり性格的な部分が大きいのかなと思うが、前回、そして今回のコンサートを見るに、亀梨くんの世界観はよくいえば孤高に、悪くいえば誰もついいけないようなものになってきていて、結局ジュニアが世界観を構成する部品として出てくるだけで、メンバーの誰も絡めない状況を見ると、こちらはこちらで危ういものを感じてしまう。
あと今までは一歩引く形でグループの中心になっていた中丸くんが、赤西くんの不在にともなって矢面に立つ部分が増えたのもちょっと心配。
とまぁ結局何が書きたかったのかよく分からなくなっているが、とりあえず私はコンサートの最後に、いつもの「We are KAT-TUN」を5人でやったときにはちょっと泣きそうになったし、ここ数年最も情熱を注いだグループはもうないのだなぁ、と虚無感に包まれている・・・。