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シカゴ出身で現在ベルリン在住の Tim Xavier のファースト・アルバム。
この人の盤を紹介するの久し振りなので書いておきますと、今作がアルバムとしては初となるものの、キャリア自体は10年以上ある人で、 Tony Rohr と組んでいる AFTERNOON COFFEE BOYS や、自身の顔のアップ写真をプリントした LTD.400 のシリーズで知られる人ですね。
その他にも彼はカッティング・エンジニアとしての顔もあって Wagon Repair の盤なんかも担当していたりするんですが、 Clink や Ltd.400 の初期に躊躇だったように、彼のカッティングした曲はものすごい音圧をほこっていて、それだけで曲の記名性として特徴付けていたんですね。
しかし作品数を重ねる毎にその凄まじい音圧というのは感じられなくなっていて、それは今作でも同様(いや、他の人の曲と比べれば十分なんですけどね)。
しかもトラック自体に関しても、狭いコンクリ部屋で硬く反響するような音響空間の中、妖しくアシッド音が揺らめく “Sonic Duality” を筆頭に、新しいどころか古典的にさえ思えるようなミニマル・テクノがずらりと並んでいる。
では今作が古臭いだけの退屈な作品なのかというとそんな事はなく、鍛え抜かれた音の数々は全てが確信を持って鳴らされているかのような力強さを感じさせるし、それらが無駄なく配置されているのにも彼の職人的なこだわりを感じる。
中でもダビーな音響の中、あくまで硬質な音で押し切るタイトル・トラックは圧巻の一言。
正直ここに以前の音圧が加わったら、と思わなくはないんだけど、それでも傑作と呼ぶには十分過ぎる出来だ。
- VIPERFISH
- TIM XAVIER
- CLINK 2010-08-31
- 曲名リスト
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- Ambient Duality
- Sonic Duality
- Into the Light
- Eleven Eleven
- Sequence Madness
- Viperfish
- Urban Survival
- Incarnation
- Uplift the Ghetto
- Ambiguity
by G-Tools , 2010/08/08