http://lonesummer.bandcamp.com/
アメリカのブラックメタル・バンドのアルバムのデモ音源(bandcamp でも公開されていてフリーで落とせる)。
以前のブラックメタルといえばほぼ音が劣悪、と決まっていたけれど(今はそうでもないみたい)、今作もデモ音源だからなのか音質に関しては相当酷い、というよりもずいぶんと思い切った音作りがなされていて、1曲目の “Mundane Dreams About Flash Floods” はほぼすさまじいギター・ノイズしか聴こえなくて、奥の方でけたたましくなるドラムがわずかに聴こえる程度。
かと思えば2曲目の “Demerol Smile” はゆったりとしたノイズ・ギターと軽快なドラムが鳴る、1曲目に比べると隙間の目立つ音作りながら、この世のものとは思えぬ咆哮がその隙間を埋め尽くし、かと思えば後半ではシンセ(?)が物悲しいメロディを奏でる珍妙な曲。
それ以降も基本的にノイズで埋め尽くすか、著しく音のバランスを欠いた曲しかないのだが、それでもこのバンドの音がただ不快なだけではなくきちんと説得力を持っているのは、ノイズの向こうに悲しみが鳴っているからで、まぁ要はすさまじくエモーショナルなんですね。
だからノイズの渦がきちんと感情の高まりとしてこちらに響いてくるし、曲によってはけっこう泣ける。
おまえこんなので泣けるって頭おかしいなじゃないのか、といわれたら否定はしないけど、とりあず今年のベスト候補に入れたいくらい好きな作品です。
MySpace の方ではもう何作かアップされているので、そちらも時間みつけて聴いてみたい。