前作『心臓』(過去記事)から1年ぶりとなる作品で、自身初となるミニ・アルバムなんだけど、これは前作の中でも Steely Dan を想起させると書いた “Tonaight” が一番好きだった私からすると、ほぼ理想どおりといった進化を遂げた作品だ。
なんでも Kreva は今作からシンセを使ってトラックを作るようになったらしいんだけど、そのせいなのかトラック前作よりも更に洗練されたものになっていて、その無機質とも思える質感からはヒップホップ的な粗さや躍動感はあまり感じられない。
しかし前作同様甘さと憂いの強いヴォーカルと合わさる事により、曲に適度な緊張感を与える事に成功していて、それにより甘くなり過ぎる事がないため、心地よさを保ちながらも非常に聴きやすく、何度も再生ボタンに手が伸びてしまう。
つまり今作は前作以上に AOR っぽい、というかまんま AOR なんだけど、それこそが私が『心臓』の次に求めた方向性であり、本作は Kreva 流 AOR の完成型として全く申し分がない傑作だ。
逆にいうと Kreva にヒップホップを求める向きには取っ付きづらい作品だとも思うが、今年の彼は面白いヒップホップ・ゲームを色々と仕掛けてくれそうなので、そちらもまた楽しみにしたい。
- OASYS
- KREVA
- ポニーキャニオン 2010-09-15
- 曲名リスト
-
- 道なき道
- かも
- たられば feat SONOMI
- 最終回
- エレクトロ・アース・トラックス
- Oasys
- Changing Same
- Reprise~道なき道~
by G-Tools , 2011/03/06