http://www.officialmiguel.com/
アメリカはカリフォルニア出身のシンガーが2012年10月に発表したセカンド・アルバム。
元々ソングライターとして裏方で活動していて、2012年春に発表した3枚のフリー EP が話題になったりと(これとこれとこれ。ちなみに聴いてない)したお方。
私はこの人に関しては、今作のリード曲である “Adorn” しか聴いた事がなく、その “Adorn” がゆったりとした四つ打ちのリズムと淡いシンセが中心のエレクトリックな曲だったので、なんとなく Weeknd 以降のアンビエントっぽい R&B やる人なのかと思ってたんですが、そういうの期待すると今作はちょっと違いますかね。
というのも “Use Me” のもやがかった音像の中でも自己主張し続けるギターであったり、 “Do You…” でのカッティングであったりと、ギターが印象的な曲が多く、ようは全体的にロックっぽい曲が目立つ(あといくつか見た MIGUEL のパフォーマンスも、ロック・スターのデフォルメみたいだった)。
では期待はずれなのかというとそんな事はなく、 “Adorn” などを改めて聴いてみると、こう書いては申し訳ないけれど、たいして伸びない声を無理やり伸ばそうとするあまり、変に力が入っていて、あまり気持ちよく聴く事ができないのだが、逆にロック的な意匠の曲で聴かせる抑え目な歌唱の方が、彼の声の艶が感じられてずっと良い。
中でもギターとベースのみをバックに、温かみと色気という、あまり同居する事のない要素を同時に感じさせる歌唱を聴かせるバラード “Pussy Is Mine” は、今作のベストでしょう。
期待していたのとはちょっと違っていたけど、なかなかの良作でした。