もう1月も半分以上が過ぎましたが、相変わらず2012年のものをぐだぐだと。
まだ日本には入ってきてないみたいだけど、昨年末にセカンドアルバムを発表し、まもなく Fabric からも未発表曲のみで構成したミックス CD を発表する Petre Inspirescu さんが2012年に発表したシングル。
彼は2011年に πEnsemble 名義でモダンクラシカルに近い方向性の作品を出していたので、 Petre Inspirescu 名義のときにも室内楽的な要素が入ってくるのかと思ったら、こちらはいつも通りの淡々としたミニマル・テクノ。
“Vrednik” は途中うっすらと入るストリングスが多少それっぽいものの、曲の基調となるのはポツポツと鳴るキックと、心臓の鼓動を思わせるベースであり、そういった意味では Petre Inspirescu のダンス的側面が表れた曲になっている。
それでいてパーカッションやクリック音などを徐々に積み重ねながら組み立てられていくグルーヴは、非常に細やかな音作りがなされていて、きちんとリスニングにも耐えうる見事な曲。
もう一方の “Vrednik” は、序盤の跳ねたリズムでクラブ・トラック的な側面を出しながらも、中盤から入ってくる硬いスネアと、クリスタルやブラスなどの上モノがゆっくり融合する美しい曲。
両曲共に Petre Inspirescu の作曲家としてのセンスが感じられる充実したシングルかと。