スコットランド出身のプロデューサー DFRNT こと Alex Cowles が2012年にリリースした3枚目のアルバム。
彼は Echodub と Cut という二つのネット・レーベルを主催しているのだけれど、今作は前者から(同レーベルから CD が出るのは初)。
DFRNT は2009年のファースト・アルバム『METAFICTION』(関連記事)の時点でテクノ的なダブステップの中でも、かなり踏み込んだ形でアンビエントの要素を取り入れていて、その浮遊感の強いダブステップは異彩を放っていましたが、そこから様々な変化や洗練を重ねた結果、今作ではダブステップ的なリズムが聴ける曲は半分ほどとなり、のこりは四つ打ちのダブ・テクノになっている。
しかしそれにより DFRNT の個性が薄れたのかといえばそんな事はなく、研ぎ澄まされたシンセの音を使い作り上げられた拡がりのある音響空間に、キックよりもベースを前面に出したリズムが溶け込む様は非常に気持ちよく、またアンビエントとダンスの境界を揺らめくような感覚も面白い。
ちなみにこのアルバムは作品のインフォが出てから、実際リリースされるまでかなり時間がかかったんだけど、 Indiegogo っていうクラウド・ファンディングで資金提供を募ったから、っていうのは今調べて初めて知った。実際の出資者の反応がどうだったのかは分からないけれど、その期待に十分足る傑作ではないかと。
DFRNT – Everyone Is Moving (Video) [taken from “Fading” – Echodub EDUBCD001] from Echodub on Vimeo.