気がつけば活動歴も10年を超え、すっかりベテランといった感じになってきた、Deadbeat こと Scott Monteith さんが2013年3月に出したシングル。
この人に関してはデビュー・アルバム買って以降ずっと追いかけてるんですが、今確認したらブログで作品紹介するの約5年ぶりなのね(我ながら酷い・・・)。
今作をリリースするレーベル Blkrtz は、カナダからベルリンに移住した Deadbeat が2010年に終了した ~scape の遺志を継ぐ形で立ち上げたセルフ・レーベルで、実際レーベルからの第一弾となった『Drawn And Quartered』を筆頭に、ダブの要素が強い作品が目立っていました。
でもその路線はある程度やりきった感があるからなのか、今作はテクノ路線の曲をリリースしていくというシリーズの第一弾。
ただ昨年のアルバム『Eight』でも Mathew Jonson が参加したりテクノ色が濃い曲も合ったので、方向性としては特に違和感はない。
しかし曲に関しては、初期のシャッフルするリズムの作り出すグルーヴが強烈なマイクロ・ハウスとも、彼の代表的なスタイルでもあるミニマル・ダブとも違う、疾走感のあるテック・ハウス的なもので驚く。
1曲目の “I.D.1” は、冒頭から鳴るシンセこそミニマル・ダブ的な音色ながら、裏でリズムをとることの多いミニマル・ダブと違い、あくまで紡ぐグルーヴは前のめりという、ミニマル・ダブとは似て非なるものになっていてなかなかに新鮮。またリズムもベースではなくキックを前面に出しているのも、テクノ的な印象を強くしていて良い。
そして全体を包み込むシンセがミニマル・ダブに近い心地よさを感じさせるものの、それを変則的なリズムの疾走感が上回る “I.D.2” もかっこいい。
フロア・ユースでありながら、自身の新しい面も打ち出した傑作です。
あと自分でリンクはっておいてこんな事書くのもなんなんですが、今作が収録曲2曲なのに iTunes Store で1500円もするのなんなんですかね。アナログより高いじゃん・・・。