先月末に発表された Jay Haze の最終作となる3枚目のアルバム。
当初自身のレーベルである Contexterrior からのリリースと報じられていたものが、「金銭のために発表したいと考えられなかった
」という彼の言葉と共に(Jay Haze の facebook ページから)、突如フリーで発表された作品です。
Jay Haze というと3部作だった前作の『Love & Beyond』(過去記事)は、最初はCDなどでリリースしたものの、後の二つはフリーで発表したし、またもっと以前にはフリーのネット・レーベルである textone (今はサイトなくなっちゃったけど、archive.org で音は拾える)なども運営していたので、作品をフリーで発表した事自体には驚きはない。
しかし HigherFrequency の記事によれば「今後も商業ベースではない新しい形(彼いわく『Music 2.0』)で音楽活動を続ける
」となっていたのが、その商業ベースでの最終作となる本作がフリーで発表されたとなると、もう音楽活動自体終了と言う意味にも思えてしまって、自分には今回の発表形態は軽い衝撃だったのだが、はたしてどうなるのだろう。
まぁこれは穿った見方だろうし、先のことをこれ以上考えてもしょうがないだろう。
という事で本作。
私が Jay Haze の名前を始めて認識したのはおそらく Portable のレーベル Süd Electronic のコンピレーション『What was it like before i got into electricity』だったと思うんだけど、その時はガチャガチャとした音作りが印象的なダブ・テクノだったのが、それ以降も捻くれたユーモアを感じさせるミニマル・ハウスや実験的なミニマル・テクノ、ミニマル・ダブにダブステップなど、多種多様なスタイルの曲を様々なレーベルから発表しているわけですが、今作はそれらのスタイルを網羅したような内容になっていて、アンビエントっぽい1曲目からミニマル・ダブの2曲目、 R&B っぽいミニマル・ハウスの3曲目と、そのスタイルは幅広い。
しかしほとんどの曲でヴォーカリストが参加していたり、また前作よりも更にすっきりとした音作りがなされている事もあり、彼の作品の中では格段に聴きやすいポップな作りなっていると同時に、それでもどの曲にも定型を崩しながらもダンス・グルーブが感じられて、 Jay Haze が自身のベスト・ワークというだけの完成度がある。
だが今作は最終作であり、つまり今作での音楽的広がりに先がないことも意味するわけで、そこだけが非常に残念なのだが、それでもこの先が聴けることを楽しみにしていたい。
ダウンロード(直リンです)