Skream と Benga 、そして Artwork の3人によるユニット Magnetic Man が昨年10月に発表したデビュー・アルバム。
ダブステップ・シーンの古参3人が集まったユニットという事で、一体どんな音になるのかと思ったが、メジャーであるコロンビアからのリリースという時点である程度方向性は決まっていたのだろう。今作は Skream のアルバム『OUTSIDE THE BOX』(過去記事)よりも明確にダブステップのポップ化が志向された作品になっている。
ではどういった方法でポップ化がなされているのかというと、それはほとんどの曲でヴォーカリストを招くことであり、曲のリードとなる明確なメロディを乗せることであり、上モノを中心とした音を聴きやすい華やかな音にする事であり、つまりは手垢にまみれた手法である。
しかしダブステップのフォーマットそのものを崩してポップに取り込もうとした印象さえあった『OUTSIDE THE BOX』に比べ、あまりリズムに手の入れなかった今作は、どうしても予定調和な印象はするものの、それでもダブステップのポップ化という事では成功しているし、実際よく出来たアルバムだと思う。
それでも今作を私が持て囃す気にならないのは、結局ダブステップも他の様々なスタイルが通った道と同じ道を行くのかとうんざりさせられるからで、少なくとも今作から私はダブステップの未来を感じ取る事は出来ない。
- Magnetic Man
- Magnetic Man
- Sony UK 2010-10-26
- 曲名リスト
-
- Flying Into Tokyo
- Fire
- I Need Air
- Anthemic
- The Bug
- Ping Pong
- Perfect Stranger
- Mad
- Boiling Water
- K Dance
- Crossover
- Box Of Ghosts
- Karma Crazy
- Getting Nowhere
by G-Tools , 2011/02/27