Dragon Ash というグループが以前鳴らしていたのは、『Viva La Revolution』のタイトルよろしく革命の音楽だったのかもしれないし、降谷くんがよく「共闘」といっていたように闘争の音楽だったのかもしれない。しかし『Harvest』以降の彼らの音は敗北の音楽というか、今までの自分たちと敗北との折り合いをつける試行錯誤だったように思う。
そして本作。まず目立つのはラテンの導入で、それは前作から見られたものではあるけれども、今作では傾倒具合が段違い。しかし最近の彼らの音から感じられる哀愁と、ラテンが本来持つ郷愁との相性が良かったのか、今作はここ何年かの彼らのアルバムの中でもダントツにイイ。
しかしラテンのサンバのリズムに乗って、以前の彼らの勢いが戻ってきたのかというとそんなことはなく、この盤に閉じ込められた空気感というものは相変わらず悲哀に満ちたものだ。しかし強がるのをやめた結果なのかそれとも開き直りなのか、とにかくここには敗北を知った者のみが鳴らせる優しさというものに溢れていて、とにかく心地良い。彼らの音楽性が丸々とラテンに飲み込まれてしまったせいで、あまりにもラテンまんまというか、演奏もメロディもパターンが随分狭まってしまった感は否めないんだけど、それでも以前よりもはるかに降谷くんらしいメロディが零れ落ちてくる部分があって、そこに私はグッときてしまうのですよ。それに後半何曲かで見られるラテンとドラムン・ベースの融合も、以前よりはるかにこなれたものになっていて、次作以降に期待をもたせる。
冒頭の表現に沿っていえばこのアルバムはやはり敗北の音楽なのかもしれないし、ただ敗者同士で傷を舐めあっているだけの音楽なのかもしれない。しかし私は本作の魅力に抗えないのです。
- Independiente(Intro)
- Develop The Music
- Stir
- Fly
- Ivory
- Libertad De Fiesta
- El Alma Feat.shinji Takeda
- Rainy
- Step Show(Interlude)
- Samba`n’bass
- Luz Del Sol Feat.大蔵 From ケツメイシ
- Few Lights Till Night
- Beautiful
- 夢で逢えたら