最近レコ屋に行くと、ジャケットの水着のおねえさんにつられて、 HOUSE NATION のアナログを買いそうになってしまうのは私だけでしょうか。
すいません、私だけですね。
すっかり別名義の Audion での活動がメインになるものだと思っていたところに、けっこう唐突に届けられた Matthew Dear の、この名義では前作『BACKSTROKE』から3年ぶりとなる新作。
とはいっても、その間に Audion 名義でアルバムやミックスCD、それに多数のシングルを出していたから、待たされた感じは全然ないんだけど、ダンス・トラックばかり量産していた反動なのか、テクノというよりは、どちらかというとエレクトロ・ポップと呼びたいような曲ばかりになっています。
でもこの人に関しては本名名義のときは、ヴォーカルを含めポップな要素を積極的に取り入れていたので、それほど以外ではないんだけど、さすがに全曲ヴォーカル曲になるとは思いませんでした。
そして当然のように内容も幅の広いものになっていて、ビートの多様性は(四つ打ちの曲だとしても)過去の比じゃない。今までになくベースが重い “FLEECE ON BRAIN” に、よく聴くと軽めのベースがおかしな事になってる “ELEMENTARY LOVER” 、短いながらもヴォーカル含め相当病的な “WILL GRAVITY WIN TONIGHT?” など、トラックだけ聴いてもかなり楽しめる。
さらに沈み込むようなギターのストロークから、キャッチーな歌メロで曲の表情を変えていく “GOOD TO BE ALIVE” や、中盤の軽やかなエレポップなど、以外にイイ曲も多い。それにアコギの弾き語りみたいのまで飛び出すとは思わなかったし。
まぁそうなってくると、御本人のヘタウマなヴォーカルはちょっとどうなのかなと思わなくもないんだけど、この素っ頓狂なヴォーカルのおかげで実験性と大衆性の両立が取れてる感じもするので、まぁいわないことにしておこう。