Q-Tip / Open The Mixtape: Abstract Innovations

Open The Mixtape: Abstract Innovations
http://www.q-tip.com/

すばらしくてNICE CHOICE」の gogonyanta さん経由で知ったフリー・ダウンロードのアルバムを2枚ほど。まずはその1。

Q-Tip といいますと、 Kamaal the Abstract 名義でのアルバムが、ネットで出回ったとか何とかでお蔵入りになったり、最近も未だリリースされていない『Live At The Renaissance』がブートで出回ったり、と散々な状況ですが、今度はその『Live At The Renaissance』からの曲も多数収録したミックステープがネットで落とせるとあっては、もう踏んだり蹴ったりだなぁとか思ってたんですが(だったら落とすなよ)、このミックス・テープに関しては Q-Tip 公認みたいですね。というのも本人の MySpace の方にリンクが貼られていたからで、さらにこの人 Kamaal the Abstract のアルバム・リリースもまだ諦めてないんですね(同じ Myspace で署名?募集してる)。
まぁ私としては、両方とも早く正規盤としてリリースしてほしいところなんですが、とりあえずはこのミックステープ。

Kamaal the Abstract のアルバムって生音を取り入れた内容だったらしいんだけど、今作もそれは同様で、 Andre 3000 や D’Angelo 、 Will.i.am 等も参加したその音は最高の一言。なので後は聴いてください。

ということで、本作の内容とは別に、この作品聴きながら思った事を。

基本的に文化というものは歴史の集積であるわけなんですが、それは音楽も同様で、例えばヒップ・ホップの場合、簡単にいえばブルースがあってソウルがあって、さらに R&B なんかからヒップ・ホップに繋がると思うんですが、本作を聴くと、そういった様々な音楽的要素が脈々と受け継がれているが故の芳醇さというものを感じるんですよね。しかしそういった芳醇さというものを日本のヒップ・ホップから感じる事があるかというとほとんどなくて。というのも、日本のミュージシャンって(ヒップ・ホップに限らず)同時代的な音を参照しすぎていると思うんですよ。まぁそれは日本のポップス/ロックの歴史の浅さに起因するものなのかもしれないけど、だから同時代的な面白さを持った作品や、もしくは何も参照していないような突飛な作品が出てくる事はあっても、音楽的に成熟したものは少ないように思える。さらに、「ヒップ・ホップ」よりも「ラップ」に重点を置きすぎてる「日本語ラップ」とやらが一般的な現在の日本の状況を考えると、こんな事を望む私の方が間違ってるのではないかという気にならなくもないんだけど、こんな素晴らしい作品聴いちゃった日にゃぁ、日本のヒップ・ホップはまだまだだと思わざるを得ない。

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4 thoughts on “Q-Tip / Open The Mixtape: Abstract Innovations”

  1. 日本って割と何でも、日本土着のものをまず「ダサい」って否定してから海外のものを持ち込んでる気がします。
    音の進化の仕方も、内からの突き上げによってってよりは注目してる市場(ヒップホップならUS)で主流がそう移り変わってるから外から取り入れるって形だと思うし。
    その辺が、日本のロックとかヒップホップの音に歴史を感じない理由かなと思います。
    西のほうからも東のほうからも色んな音が輸入されてる日本の、良くも悪くもこれが特性なのかなと。

  2. > KK さん
    ホントおっしゃるとおりですよね。
    まぁその分他の国にはないユニークな音も多いというのもあって、
    痛し痒しというかんじでしょうか。

  3. こんばんは。
    ご紹介&トラックバック、ありがとうございます。

    > 様々な音楽的要素が脈々と受け継がれているが故の芳醇さ
    同感です。音で楽しんでいるのが本当によく分かるんですよね。ここまで音が豊かだとヒップホップファンだけではなく、音楽好きなら誰にでも受け入れられる音だと思いました。でも、シングルが売れないとアルバムを出せない状況なんでしょうね。ピート・ロックの新譜がアルバム総合チャートで193位。Q-Tipも今出せばそんなもんなんでしょうね。

    > 日本のミュージシャンって(ヒップ・ホップに限らず)同時代的な音を参照しすぎている
    戦後の邦楽は米国の影響を大きく受けながらも、ポップミュージックにしろ、ロック、フォークも日本に根付いていった思うのです。でも、ジャンルという壁を自ら作り、相互の交流がないのが良くないのかな、とふと思いました。

    そして、ヒップホップは本来ジャンルを取っ払っていいとこ取りをする雑食の音楽性が持ち味であるのに、自分たちで音の自由度を狭めてしまい、貧弱な音になってしまっているのかな、と。

    このあいだのBlack Thoughtの新譜ではないですけど、日本の80年代の音を大胆に使って、やっても面白いと思いますけどね。

  4. > gogonyanta さん
    いえいえ、こちらこそ素晴らしい作品を教えてもらい、ありがとうございます。
    日本の状況も色々問題あると思うんですが、ちゃんと知名度があって、さらにここまで素晴らしい作品を作っているアーティストが、アルバム出せない米国も病んでますよね。
    こういう音楽こそ広く聴かれるべきなのに。

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