gui boratto / chromophobia (KOMPAKT)CD

gui boratto / chromophobia
http://www.kompakt-net.com/

最近ではダンス・ミュージックもすっかりデジタル配信が一般化してきていて、アナログ好きの人間は寂しい思いをしてると思うのですが、以前「remix」のインタビューで Dave Clarke が地球環境の面からデジタル配信を支持していたのが印象に残っております。確かに塩化ヴィニールや合成プラスチックって有害物質だもんね。その発言と同じくらい考えさせられたのが今月の「ミュージック・マガジン」の Moodman の連載の一文でありまして、「最近のミニマルやクリックはラップトップで制作しているのだから、データで直に触れてみるのも原音再生という視点ではアリなのではないか」、というのは、なるほど、なかなか説得力がある。こんな方向性で考えたことなかった。

でまぁ上の文章とは全然関係ないんだけど、デジタル配信には積極的な KOMPAKT から今年前半に出た、ブラジルの新人さん gui Boratto の1枚目。
このアルバムってそれなりの回数は聴いてるんだけど、イマイチ掴み所がないのよね。基本的には border community 以降のプログレッシブ・ミニマルが中心。
でも、ヨーロッパのデトロイト・フォロワーのほとんどが本家のファンクネスを見落としているのと同様に、この人(っていうか他の人も皆そうなんだけど)も border community の音響面というのは意識していないようで、そこに物足りなさを感じる。
でもでも、そこが致命的な欠点にもなっていないのも事実で、というのも彼の作り出すメロディが非常に多彩、かつ華やかで、ここまで明確にポップなのって KOMPAKT の中でもあまりないんじゃないでしょうか。
でもでもでも、実際聴き終ってみると、メロディはなんとなく頭に残ってるんだけど、肝心のサウンドの方がどうも頭に残らないのよね。だから聴いている間は心地よいんだけど、どうも再び聴く気がしないのです。

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