確かあれは1年位前だったか、「ミニマルのディープ・ハウス化」なんて事がよく云われておりまして(もうちょっと前だっけ?)、そのときよく名前が挙がっていたのがこのドイツのレーベル Mobilee Records だったんですが、私からすると Mobilee っていうといかにもミニマルな暗黒ビートを鳴らす代表レーベル、みたな印象が強かったので、その意見に関しては当時かなり疑問でした。
しかし Mobilee の配信のみのリリースとなる Gummihz こと Alexander Tsotsos のアルバムは、「ミニマルのディープ・ハウス化」なんて通り越し、まんまハウスになっていて軽く驚く。
以前彼の音源を Mobilee のコンピで聴いたときは、このレーベルらしいディープ・ミニマルだったのだけれど、今作では1曲目の “Love Call” から王道感のある歌モノで、続く “Sunshine Dub” もストリングスと上モノの感じがニューヨーク・ハウスっぽい。これ以降もテクノらしい硬い音はあまり使われず、その柔らかさはハウス的な印象を強めている。
しかし今作がまんまハウスなのかというとそんなこともなく、ベースよりもキックがグルーヴを形作ってるところなどはテクノの語法を感じるし(単純すぎますか)、そのキックの音もそれほど重くないので、こちらに何かを強要する感じがないのも聴きやすくて良い。
どっちつかずと云ってしまえばそれまでだが、ダンス・ミュージック好きならどんなタイプの人でも聴きやすい作品かと。