数年前から出る出るといわれていたアクフェンの本名名義での作品がようやく到着。以前から言われていたようにいつものカット・アップ・ファンクではなくノン・ビート主体の物。アクフェンのノン・ビートといえば、以前ミル・プラトー・ナイトで来日した時にノン・ビート主体のライヴを披露していたんだけれども、それが私にはえらく退屈だったので正直今作も聴く前はちょっと不安だったんですよね。でもこのアルバムを聴けば彼がカット・アップという手法にたよった一発屋ではなく、きちんと音楽的才能のあるアーティストだということが分かる素晴らしいアルバムだったので一安心。
とはいっても今作ではカット・アップが使われてないのかというとそんな事も無く、サンプルをより細かく切り刻んだ感じで使われてます。そして音の粒子のようになったサンプルを包み込むようなオーケストレーションが素晴らしすぎ。以前から何度か書いてるけど、この人のメロディ・センスは本当に非凡なものだと感じます。それにノン・ビートとはいっても音圧は結構あるのも嬉しいところです。そして緊張感のある序盤から、どんどん穏やかに、かつ美しくなっていく構成も見事。個人的には『My Way』より好きかも、なんて思わせてくれる傑作です。
あと『remix』に曲タイトルは心拍数を表してる、って書いてあるんだけど、タイトルの数字は出産までの日数じゃないかと思うのは私だけでしょうか。最終曲が236だから8ヶ月くらいでしょ?その後の274だとしても9ヶ月だから丁度そのくらいだと思うんだけどなぁ。