昨年プロデュースをした Saul Williams のアルバムが、思ったほどの収益を上げられなかったために、若干キレ気味であったトレント君なんですが(そこら辺は「P2Pとかその辺のお話」さんに詳しい)、そこでめげることなく、なんと次は自身の新作を発表したといういので、早速聴いてみた。
前作から僅か1年弱、さらにプロデューサーも『Year Zero』と同じという事で、基本的な方向性にあまり変化はないんだけど、今作はインスト作品という事もあってか、いつもの彼の作品よりは静穏な印象を与えるものになっていて、あえて比較するなら『The Fragile』に近い。しかし『The Fragile』のような、強烈な痛みが刻み込まれた音はここにはない。その代わり、若干大味すぎた前2作に比べれば、いくらか音に緊張感というが感じられて、インダストリアル/エレクトロニカとしては悪くないかなと。さすがに2時間近くも集中力がもたないんで、聞き流し系ではあるんだけど。
まぁそれでも今作のリリースが意義深いものであるのは間違いないので、あとは最近の攻撃的な姿勢が音の方にも反映してくれると文句ないんだけどなぁ。