Richie Hawtin が Plastikman 名義で2014年7月に発表したアルバム。
前作『Closer』から11年、その間も DJ としては精力的に活動していたものの、シングルなどのリリースもほとんどなかったので、かなり待たされた感があったのだが、そんなことを知ってか知らずか、2013年11月に行われたイベントでのライブを収めたライブ盤という肩透かし。
しかもそのイベントを主催していたのが Dior のディレクターというのだから、私なんぞはそれだけでぐへぇ、となってしまうし、内容としても実験的なノンビートのものを想像していたのだが、実際には全編ほぼ四つ打ちのキックが鳴るミニマル・テクノ。
基調となるのはこのプロジェクトらしいアシッド・ミニマルなんだけど、『Closer』のように沈み込むよう感覚はなく、かといって当然のようにガンガンに上げていくなんてこともなく、つまりは淡々としているのだけれど、特に展開のないミニマル(最小)な音でもないので、すごく聴きやすくはあるんだけど、反面中庸な印象も強い。
音そのものは如何にも Plastikman らしいものだし、ハッとさせられる場面がないわけではないんだけど、今までの作品の衝撃度に比べて、普通に心地よく聴けてしまうという時点で、Plastikman の作品としては失敗作なんではないだろうか。