Radiohead / In Rainbows

In Rainbows
http://www.inrainbows.com/

一応おさらい的なことを書いておきますと、 Radiohead って前作の『Hail To The Thief』でレコード会社との契約が切れている状態で、次のアルバムはどこから出すのかみんなが注目していたわけですが、唐突にネット上で発表されたのが本作。形態としてはCDやアナログがセットになった DISCBOX と、自分で値段が付けられるダウンロード版の2種類。なかでも自分で値段設定が出来るということで、ダウンロード版が非常に話題になっていますね。少し前に殿下が英国の新聞にアルバム付けたり、 Trent Reznor が今後特定のレーベルに所属しないことを宣言したり、来年には Charlatans がフリーダウンロードでアルバムを発表する予定だったりと、有名アーティストでも従来の枠に囚われない作品発表をする人が増えてきましたが、今回の Radiohead の動きというのは影響力の大きいものではないでしょうか。因みに私は以前書いたように DISCBOX の方を買ったのですが、 DISCBOX を買うとダウンロード版も落とせるので、10月10日に早速落として聴いています。あとジャケ写がないので、上のは代用品です。悪しからず。

私は SNOOZER を毎号買っているので、それ読んでると Radiohead の情報ってわりと入ってくるんだけど、そこには確か Radiohead の新曲はダブ・ステップやグライムの影響がある、みたいなことが書いてあったのよね。さらに Thom Yorke の昨年のベストアルバムが Spank Rock だなんてことも書いてあったので、こちらとしては当然新作はリズムを強調したものになると思っていたわけですよ。
でも実際聴いたこの『In Rainbows』という新作は、びっくりするくらいオーソドックスなロック。冒頭の “15 Step” こそノイジーなブレイクビーツが鳴る曲なんだけど、他の曲は基本生音ばかり。まぁ全体的にポスト・ロック的な雰囲気は強いんだけど、ここまでストレートな作風も初めてなんじゃないでしょうか。
でも個人的には前作や『KID A』なんかよりはずっと好き。
というのも、オーソドックスなロックだといっても、演奏のそこかしこに彼らが今まで取り込んだ音楽性がにじみ出ていて、音が非常に濃密。それでいて Radiohead にしては珍しくリラックスした感じが強く、とても聴き易い。
まぁ Radiohead が前作に続いて成熟の道を選んだということで、複雑な思いを抱く人も多いんだろうけど、 Radiohead の進化などというものを求めることを、とっくに諦めてしまった私のような人間からすれば、今作は寧ろ好ましい。

しかししかし、それでもこのアルバムが Radiohead の正式なアルバムなのだろうか、という風に感じるのもまた事実でありまして。それはこの発表の仕方があまりにも実験的に思えるのと、この作品に肯定的な私でも、『In Rainbows』は彼らにしてはリラックスした空気が強すぎると思うから。
案外来年辺りに、上記したようなモダン志向な作品が CD で正規盤として発表される気もするんだけど、どうかなぁ。

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