Tommy Hilfiger の息子だという Ricky Hil が2013年2月にフリーで発表したデビュー・アルバム。
なんでも本作は元々 Warner Bros. から出る予定だったものの、発売日の延期などでなかなかリリースされない事に業を煮やし、無料公開に踏み切ったものだそう(ちなみにタイトルは「Support Your Local Drug Dealer」の略)。
なのでフリーとはいえ Leona Lewis や The Weeknd が参加していたりと、なかなか豪華。
ただ音の方はというと、もの悲しいアコースティック・ギターの調べで始まる冒頭の “Slickville” からしてあまり作りこまれた感じはない。さらにビートこそヒップホップのモノながら、そこにブルージーなギターが絡み、その上で Ricky Hil がしゃがれ声でラップや歌を聴かせるという、要はラッパーが作るロック作としてはありがちな作り。
さらに Ricky Hil の歌が明確なメロディを歌い上げるというよりは、鼻歌のようにふわふわと気だるく声を出すものなので、どうしても雰囲気モノという印象が強くなってしまうんだけど、このたそがれた空気感というのは悪くない。
なかでも柔らかな演奏やメロディと銃声のサンプリングの対比が印象的な “The Right Time” いい。
The Weeknd と Leona Lewis が参加した部分だけ音楽的完成度が一気に上がって感じるのはご愛嬌。