Shed の名義で知られる René Pawlowitz が、2013年1月に Wax 名義で出したシングル。
René Pawlowitz 自身は様々な名義でそれほど間を空けずに作品を発表しているが、 Wax 名義では約2年ぶり。
Shed って『Shedding The Past』(関連記事)のときは比較的繊細な音作りをするアーティストという印象だったのが、いつの間にか非常に太いリズムを鳴らすようになっていて、それゆえにダンスを意識した名義である Wax や eqd との差異が分かりづらくなっていました。
そこを本人も意識しての事なのかは分からないが、今作はむしろ以前の Shed を思わせる繊細な音作りになっている。
特に A 面の曲は、四つ打ちのキックこそあるものの、そのキックもポツポツと鳴るような頼りないもので、そこだけを抜き出せばダンスとは結び付けづらい。しかし徐々に入ってくるシンセの、空間的な拡がりを感じさせながらも、同時に深い余韻も残す音が非常に美しく、またその間を縫うようなハイハット、そしてリズムが絡み合う事によって、緩やかながらもグルーヴを紡いでいて流石の完成度。
一方 B 面の曲は、太いリズムに、ミニマル・ダブ的な上モノが乗るいつもの Wax という感じ。しかしダブ処理による残響音を少し鳴らして、以降断ち切ることによってなんとも骨太な印象に仕上げていて面白い。
今度はこっちの名義でもアルバム出してほしいものです。